里山の千手観音

■福島市山口 清水観音堂

こんにちは。住職です。

素朴で温和な表情の千手観音、この仏像は安洞院からほど近い里山の奥深くに佇む観音堂、清水(きよみず)観音堂のご本尊様です。2年に一度祭礼が催されていますが、今年が祭礼の年にあたることから導師をつとめにお参りしてきました。

ここがまた凄いところにあります。沢を越え、里山を登るのですが年配の方には厳しい。よくもまあ、こんな場所まで木材を運んでお堂を建てたものだと思います。

雪駄や草履では坂を登れないばかりか、ぬかるみで酷い目に遭ったことも多々あります。法衣には似合いませんが、ゴアテックスのトレイルランニングシューズが最適です。背に腹は変えられません。

お堂が見えると思わず快哉を叫びたくなります。仏に会える喜びの原点ですね。

今回は屋根が風雨で痛んでいたので、世話人を中心に地域の皆さんで浄財を募り修繕工事を行いました。

地域の宝である小さな寺社仏閣を知ることは、子どもたちへの最高の教育。みんなで仏様を拝んだ後は野山を駆けて遊んでいました。山林除染が入り、美しい里山が戻りました。私もよくトレーニングで野山を走りますが、ふかふかの地面は最高に気持ちがいいものです!

この周辺の里山には、薬師様や日光月光菩薩、三十三観音を祀るお堂が多く、春の田植え前に五穀豊穣や地域安寧を祈願する祭礼がお寺の住職を招いて行われます。

この沢端の清水観音は歴史が古く、およそ1200年前、京都の清水寺の創建者と伝えられる坂上田村麻呂が蝦夷征伐の道中で観音様を安置したといわれています。


福島市内には庭坂にも同じ言い伝えが残る清水観音(信達三十三観音8番札所)もありますが同様の伝説は各地に多く、弘法大師伝説、行基伝説と並んでその信仰のダイナミズムの中に厳しい時代を生きた庶民の信仰の原点が見えてきます。

里山は新緑の時期を迎え、最も美しい季節を迎えます。最近はランナーやハイカーの方を案内する機会も多く、里山の道も踏み固められてきたような気がします。


巷ではご朱印がまだまだ人気ですが、こういったご朱印すらも無いような山奥のお堂には、一種独特の有り難みがあります。寺社仏閣観光地が大渋滞するゴールデンウィークには、趣向を変えたマニアックな「マイお堂」探しもいいかもしれませんね。


住職 合掌

浄財により、沢越えのスポットに橋が架けられました!ありがたや。

これでどれだけの人が助かることでしょうか。

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福島県福島市の曹洞宗寺院・安洞院のオウンドメディアです。ブログ記事とソーシャルメディアの投稿を中心に、お寺の各種法要やイベント告知・報告をアップしていきます。寺院の歴史沿革や詳細については公式サイト(http://antouin.com)を御覧ください。

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