おはようございます。住職です。
さる6月22日、福島民友新聞社様の企画「女性のための社会科教室」にて、お墓や終活についてのコマを担当することになり県北地区在住の女性40名の皆様をお迎えいたしました。1時間という短い時間でしたが、昨今の話題になっている墓じまいの現状やその具体的費用、法的な手続きや菩提寺とのやり取りなどを中心に紹介しました。
特に最近寄せられる質問で多いのが永代供養墓の内容です。一口に永代供養といっても、その内容はさまざま。各お寺によって供養の方法やシステムが違うため、最初に確認すべきポイントが幾つかあります。首都圏を中心に幾つかの最新のデータや事例を紹介しながら、その費用やシステムについて比較しながら解説をしていきました。
価値観の問題もありますので一概にどれが良いとは言えませんが、運営側として最低限確認していただきたい内容は以下の三点です。それぞれの条件によって費用も大きく変わってきます。
1.埋葬の方法(合祀か、個別埋葬か、期限付きの個別埋葬か?)
2.申込み後の管理費や法要の費用(特に法要の費用について要確認)
3.供養の方法(月例、個別、年に一度?)
そのような座学を経て、当山の芝生型永代供養墓地・祈りの丘へ見学へ行きました。上記の条件でいうと、①芝生の中に個別納骨式、②法要の費用は申込み後一切不要(生花や供物のみ施主用意)③毎年のお盆と年回忌に個別供養、という形式で運営しています。最近では生前のご相談や家族での申込みも増えています。
▼お墓についての意識調査から
せっかくの機会ですので、参加者の皆様にお願いをして無記名式にてお墓についての意識調査のアンケートを行いました。「お墓に一緒に入りたい人、入りたくない人」という、中々厳しい設問です。男性としては非常に気になるところでしょうか・・・。(回答者数は40名、60代~70代中心、複数回答可)
このデータを調べてみたかったことには一つの理由があります。
これまでいくつかのブログなどで「夫と一緒にお墓に入りたくない女性が増えている」という内容がやや過剰気味に紹介されているのを見てきましたが、その根拠が「夫と一緒に入りたい」という回答が少ないという理由のものでした。それではあまりにも理論の飛躍があり過ぎるのではないか?と感じていたこともあり、「入りたくない相手」についての質問を試みました。
回答数が多くはないので判断が難しい部分もありますが、ある程度端的な特徴は表れていると思います。「夫と一緒にお墓に入りたい」という女性は75%、「夫とは入りたくない」という女性は5%でした。これを読んで胸をなで下ろした男性諸氏も多いかもしれませんが、「入りたくない」相手を見ていくと現実社会の問題も如実に反映されているように思います。義理の両親、伯父叔母、甥姪、配偶者の兄弟姉妹(いわゆる小舅)などには、いわゆる嫁としての立場から一定の抵抗感があることが分かります。
逆に、入りたくない相手で結果が極端に少なかったものは、「両親と子ども、自分の兄弟」です。血の直接の繋がりが深いほどに抵抗がないことも分かります。
正直なところを述べれば、この手の調査は設問の分母次第で、ある程度意図した結果を導くことが可能です。初めから永代供養の相談会に来られた女性と、今回のように新聞社主催のランダムな設定では結果も異なってきます。菩提寺として檀信徒に調査を行ってもよいのですが、模範的な解答が多くなりやすいというバイアスがかかります。その点では、今回は9割近い方が初めて来寺されるという、フラットな条件下でのアンケートでした。
福島近郊の60~70代女性たちの「夫と墓」に対する考え方は、そこまで極端な結果は見られませんでしたが、しかしながら夫としての妻への配慮や認識の相違を認めることは必要であると思われます。先祖代々の墓に入るのは当たり前という前時代的な考え方には多少の抵抗があるのは事実で、これが若い世代や都市部で更に変化していくことは自明の理です。このような小さなすれ違いが大きな問題になることもあるので、生前の話し合いは必要ですね。
「あの世に行ってまで、あなたと一緒にいるのは嫌だ」と言われないために。
今回は、対象が女性限定だっただけに、住職としても非常に意義深い意見交換の場を持つことができたと思います。誰もが避けて通れない、いずれやってくる終着駅の問題であるお墓。男性中心で作られてきた制度の中で、このような統計をもとに女性の感覚や理解を共有していかないと、供養の現場は次第に世間から乖離していくように感じています。
皆様から頂戴した声は、今後の運営にフィードバックしていきたいと思います。(もちろん夫としても、、、です!)
お墓や永代供養のご相談、特に改葬や分骨などの法的な手続きについては専門の士業の先生がたの協力のもとで進めておりますので、いつでもご来寺のうえご相談ください。
住職 合掌
※福島民友新聞6/23県北版より
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