ポストカードメイキングストーリー(2026年3月)

今月のお寺オリジナルポストカードは、緑青の青が美しく映える屏風がモチーフです。大胆に広がる梅の古木の奥には月。今から約20年前に寄贈いただいたものです。


屏風の前に寄贈のエピソードを掲示しています。作者不詳、年代も不明ですが、これを寄贈いただいたのは元福島ヤクルト本社専務、福島ヤクルト販売名誉会長である故・山田広助氏です。寄贈当時、安洞院の総代をお務めいただいていいた故・和合巳三朗氏のご紹介でよくお寺にもお参りされておりました。

お二人共に戦争経験者の世代であり、当時はほかにも多くの戦争経験者の方々が「戦友」として当時の話をお茶をのみながらしていたものでした。目の前で爆撃があり、九死に一生を得て生還した話。満州引き上げの記憶。シベリア抑留の惨状など、今となっては貴重な証言ばかりだったと思います。

当時、住職である私はまだ二十代半ばごろでしたが、言葉の端々に感じる命への感謝や平和の尊さ、亡くなっていった人たちの分まで生きるという意思はとても強く深く、その世代の方々と時を共にできたことは幸せでした。

その頃に、故・山田広助氏から文化財寄贈のお話をいただき、こちらの屏風をお寺に納めていただきたいとのお申し出があり、当院の什物としてお客様を迎えるために展示・使用させていただいております。

最近は海外の方のお参りもありますので、日本語の解説とともに英文も掲載しています。冷たい風の中に咲く梅の季節、この屏風の梅の古木に宿っているのは、戦争という一つの時代を生き延びて後世に命と心を伝えた、山田氏の平和への想いがあるように思えてなりません。多くの人が訪れる寺院への奉納。それを受ける寺院の住職として、後世や次世代の子供達にも伝えていきたいものです。

戦争や戦地での記憶を一人称で語ることができる人は、天寿をまっとうされて年々鬼籍に入られています。当時の記憶を語り継ぐことで、その人々の命が生きることを念じて、3月の期間中は梅や月、この屏風にまつわる法話を行なってまいります。

リニューアルされた床の間の照明も屏風を美しく引き立たせてくれています。3月いっぱい、桜の時期まで展示予定です。ぜひ手をわせて、平和を祈り、ご覧ください。皆様のご来寺をお待ちしております。

ポストカード寺報は、今週中には檀家・永代供養の皆さまのご自宅へ届く予定です。

住職

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