「香澤山」(こうたくさん)という山があるんでしょうか?
よくいただくご質問です。
そのような名前の山はありません。
これは山号(さんごう)といって、お寺の名前の前に冠されるもう一つの名称のようなものです。有名な寺院だと比叡山(山号)・延暦寺などでしょうか。曹洞宗の本山では、吉祥山・永平寺、諸嶽山・總持寺。いずれも山号があります。
これは、古くは寺院が人里離れた山の中にあったという歴史的な背景などがあると言われており、その他にも山岳信仰などの諸説があるとも言われています。
安洞院の山号は香澤山です。本堂の正面に掲げられている山号額の通りです。
(画像・境内を流れる沢)
おそらくその由来となっているのは、安洞院の地理的な条件や地名によるものだと思われます。
まずは、地名から。
安洞院のある地域は、町内会の分類上は福島市山口字沢端(さわはた)という地区になります。この地域には坂上田村麻呂のゆかりの観音堂があるなど、安洞院よりもはるかに古い歴史があり、現在も観音堂では2年に一度の祭礼が行われます。中々の里山の中にあり、清水観音堂(きよみずかんのんどう)というお堂の近くには山から沢が流れています。そのような地理的な条件や地名から山号が名付けられたのではないかと思量されます。
つぎに、地理的な条件から。
安洞院の境内にも沢が流れ込み、霊園内の池に水が注ぎ、沢の水はやがて門前の灌漑用水である東根堰や胡桃川に流れ込みます。この沢も水質がとても良く、沢蟹や天然の源氏蛍が生息しています。沢の水辺や境内の各所には春になると多数の花が咲きます。
先人たちはこの清らかな沢の流れや豊かな原風景に、香りの沢として「香澤山」という名前を残してくれたと思われます。
(画像:新設された香澤山霊園の駐車場)
その沢があるのは、新たな駐車場を開いた場所と向こう側の山の境になります。沢に影響が出ないように庭師さんや土建屋さんと相談し、緑の草が茂る境界部分を残した設計になっています。
画像左の場所はこれから屋根をかけて人工ウッドデッキを敷き、ベンチやテーブルで休憩ができるスペースを作る予定です。初夏はホタルを眺めながらゆっくりと過ごせる場所にしたいと考えています。「ほたるテラス」というネーミングを考えているとこです。
本当にきれいな水です。ここに限らず、福島盆地の東側の山では各所からきれいな水の沢が流れています。ホタルも各所で見ることができます。
こちらの駐車場へは、先日無事にすべての工事が終了し、拡張した道路に見晴らしを良くしながら転落を防止する鉄柵が設置されました。また、ホタルを見るためのスペースでは椅子に座った方のポジションに合わせ、柵をちょうどよい高さにカットいたしました。あっという間に鉄をカットする職人さんの技には思わず見入ってしまいます。
まずは春のお彼岸にて、続いてはお盆前の初夏の夜に、お参りいただければ幸いです。とはいえ自然豊かな山ですから、蚊・アブ・蜂・マムシなどものびのびと暮らしております。自然界の中に人間のエリアを使わせていただく、そのような気持ちも大切にお参りください。
今は梅が満開!
沢の一面に漂よう香り、まさに香澤山です。
住職
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