安洞院からの眺めがこんなところに!

福島市では東日本大震災から10年の歴史とあゆみを一冊の本にまとめた「東日本大震災・原発事故からの福島市復興のあゆみ」が刊行されました。販売はしておりませんが、学校や市の公共施設などに配布され、福島市内各所でご覧いただけます。


実はこの表紙の写真は、安洞院から福島盆地を撮影したもの。住職がスマホで撮影し、SNSに投稿したものが福島市の震災10年の催しでの映像に使用されました。その映像をご覧になった木幡福島市長の「いいね!」が後押しとなり、表紙写真として採用していただきました。大変光栄なことです。

これが元画像です。福島市のシンボル信夫山から二重の虹が出ています。2020年の12月8日、お釈迦さまが悟りを開かれた「成道会(じょうどうえ)」の朝、本堂のお勤めを終えて外に出ると、ほんの一瞬だけ、信夫山から虹が2本、光り輝き始めました。わずか数分の出来事でした。



冊子の最後には、表紙写真の説明が掲載されています。




安洞院の檀家の一人でもあり、毎年の311に朗読をお願いしている詩人・和合亮一さんのコメントなども掲載されています。今年の震災10年の「3.11祈りの日」では、感染防止のため来場者を迎えることができませんでしたが、日本全国から寄せられた「祈りの手紙」の朗読と演奏の映像と合わせ、和合亮一さんの鎮魂の詩の奉納がYouTube動画として公開されています。



(朗読:紺野美沙子 演奏:中村由利子 詩:和合亮一)



写真はご覧の通り墓地が写っているため、表紙写真では墓地の部分を画像編集で消去しています。冊子の表紙には写ることはなかったものですが、福島盆地を眺めながら眠っている多くの人々の思いがこの写真に宿っています。


震災と原発事故によって人生が狂ってしまった方の数は計り知れません。

震災以降、趣味だった畑をやめてしまった老夫婦が心身ともに病んでしまい、想像以上に早く体調を崩して亡くなってしまった。趣味の山菜採りに行けなくなり、生きがいを奪われてギャンブルにはまってしまい不健康になり、持病が悪化して亡くなった。。。そういった方々の葬儀を執行するたび、「見えない関連死」という言葉を噛み締めてきました。この霊園にも、故郷を離れて移住を決意した方や、見えない関連死によってこの世を去っていった方々が眠っています。


虹が出る福島盆地。

それは、単に美しいとかきれいな写真という一面だけではなく、深い悲しみがあるからこそ感じることができる一瞬の儚さと尊さを代弁しているように思われます。


安洞院の全檀信徒の方々にはポストカードに仕立てたものを、季節のご挨拶とともに先月発送させていただきました。冊子は安洞院の玄関ロビーに、ポストカードは事務室にて100円で販売中です。お立ち寄りの際はぜひご覧ください。


合掌

antouin's Ownd

福島県福島市の曹洞宗寺院・安洞院のオウンドメディアです。ブログ記事とソーシャルメディアの投稿を中心に、お寺の各種法要やイベント告知・報告をアップしていきます。寺院の歴史沿革や詳細については公式サイト(http://antouin.com)を御覧ください。

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