テラヨガメシと新蕎麦!ダイジェスト版

老若男女問わず、多くのみなさまにお越しいただいているヨガイベント「テラヨガメシ」が去る10月1日(日)に安洞院を会場に開催されました。今回の食事のコセンプトは、新蕎麦。北海道産の幻の牡丹新蕎麦を贅沢に振舞ってくださるのは、福島市パセオ通りに「手打ちそばよしなり」を構える吉成和巳さん。ご覧の通り、前菜からご飯と汁物までついた、新蕎麦フルコースをご提供いただきました。

写真のそばは一種類ですが、せいろを変えてもう一品のそばが振舞われました。

はじめのせいろはそば粉に柚子を練りこんだ風味豊かな柚子切りそば。吉成さんとの打ち合わせの際、お寺の境内から福島市のシンボル信夫山がよく見えることから、柚子畑のある信夫山からインスピレーションを得たとのこと。とても香りがよく、スパルタンな濃い味の蕎麦つゆの余韻に柑橘の香りが追いかけてきます。


そして、真打登場。こちらが北海道産の牡丹新蕎麦。

透き通るような色、コシ、香り、すべてが素晴らしく、みな暫くは無言のうちに蕎麦をすする音だけが座敷に響いていました。今回は人数も多かったことから、全員に行きわたるように半人前の蕎麦を二種類、時間差でサーヴするという吉成さんの綿密なプランにプロの矜持が感じられました。蕎麦の透き通るシズル感が視覚で楽しむことができるのはわずか3分。スタッフも総動員で蕎麦のサーヴに入りました。

素材選びから配膳まで、お客様の目線にたった細やかな配慮に脱帽です。



食事の前には、修行道場の食前の祈り「五観の偈」を唱和。食材がどこからやってきたのか、そしてその食事をいただくに値する修行ができているかを自らに問います。薬としていただく食事、そして、修行を完成させるための食事。当たり前の日常の中に鋭く切り込んでいく禅の教えが散りばめられた祈りの言葉です。「小学校の合宿みた〜い」との声も。




食事は最後のプログラム。

順序が逆になりましたが、最初はお寺の玄関からスタートです。受付スタッフから説明を受けて、本堂や更衣室へ向かっていきます。


秋の乾いた空気に合わせたお香が玄関で焚かれました。甘い白檀の香りが、風に乗って外まで香っていたようです。




本堂への入り口。まずは本堂に入ったらご焼香からスタートします。修行の成就を祈り、心身の健康を祈り、ご本尊様に感謝のご焼香をしていただきます。


禅寺の本堂では、玄関の甘い香りとは対照的な、背筋がピンと伸びるような辛口のお香が焚かれます。坐禅をしても目がさめるようにという目的もあるのだとか。


お香屋さんに話を聞くところによると、西方極楽浄土を拝む宗派では、浄土を連想させる甘いお香が多いのだそうです。宗派の特徴は香りに反映される。意外で面白いですね。



今回もおかげさまで申し込みから一週間以内に定員30名が満員に。年配の方やリピーターの方が多いのがテラヨガメシの特徴です。スポーツジムには二の足を踏んでいる主婦の方や、男性の方にこそご参加いただければと思っています。




今回インストラクターをお務めいただいたのは、AriaYogaサークルの尾崎理子さん。しなやかなポーズや容姿、本堂の隅々まで通る声がとても美しく響いていました。金色の龍の装飾が多い本堂に、黄色のウエアが映えますね!


AriaYogaサークルのレッスンは安洞院の他にもアオウゼや御倉邸など、福島市内のさまざまな場所で受けることができます。とても丁寧にご指導いただけるのでご興味のある方はアクセスしてみてください。

■AriaYoga https://ameblo.jp/ariayoga/


天蓋(てんがい)。上を仰げば、屋根から垂れる無数の宝珠の飾りが西陽を受けて輝いています。


テラヨガメシのリピーターの方の中では、この天蓋の下付近の場所が密かな人気のようです。それもそのはず、屍のポーズで横になった時に目の前に広がるのは下から見上げた天井の装飾です。なんとも言えない感覚でしょう。



ヨガのあとは、坐禅の時間へ。

ヨガの後の坐禅は、身体や呼吸が理想的な状態となって既に整っています。骨盤を意識し、股関節もほぐれていて、しっかりと足を組む姿勢が取りやすくなります。どっしりと坐り背筋がすーっと伸びる、美しい姿勢の方ばかりでした。


坐禅の作法を通じて、昔からのさまざまな禅のエピソードを交えながら、薄暗くなる本堂で坐禅の時間が粛々と進められていきます。

今回は、地獄と極楽、運の話。



その間、スタッフと厨房チームが、料理のセット確認と配膳イメージのチェックを行います。大人数の食事を一斉にさばくのは至難の技。これまで何度も回を重ねてきたテラヨガメシのスタッフの連携プレーも見事です。


座敷の勝手から厨房の道具まで、住職以上に熟知しているスタッフの方も多数おり本当に頭が下がります。テラヨガメシは、スタッフのみなさんの力抜きにしては語れません!



そして、冒頭の食事の時間へ。

吉成さんより献立についての説明がなされ、蕎麦を粋に食べるポイントなどもレクチャーされました。濃いめのつゆに蕎麦を浸しすぎるのは無粋なこと、食べることも修行ですね!

まさに身も心もみたされる1日となりました。



昨年4月より始まったフードイベント形式のヨガ「テラヨガメシ」では、まだまだこれからも多くの皆様に心身と向き合う時間を提供していきたいと考えています。最近はいくつかのメディアでも取り上げていただき、予約が取りにくくなる状態が続いていますが、未経験の方にこそお寺に足を踏み入れて、まずは、最初の一段の高い敷居を跨いでほしいと願っています。


「お寺は非日常の空間」という例えがありますが、むしろ住職の私が目指したいのはその逆。


五感をフルに活用して心身を見つめるという行為は、日常の中にこそ大切にすべき営み。それゆえ、日常から遠く離れた非日常イベントではなく、いつもそこにいけば何かがある、すぐそばにある日常の場所でありたいと思うのです。


そして気がつけば、、、早くも今年も残り3ヶ月を切りました。

今年の師走には、年内最後のテラヨガメシ特別企画をご用意しております。まだ正式な告知は先になりますが、12月9日、夕方のお時間を空けていただければ幸いです。また、山の上のお寺でお会いしましょう。


合掌


文・住職 横山俊顕

写真・渡邊清一郎(素敵な写真ありがとうございます!)

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福島県福島市の曹洞宗寺院・安洞院のオウンドメディアです。ブログ記事とソーシャルメディアの投稿を中心に、お寺の各種法要やイベント告知・報告をアップしていきます。寺院の歴史沿革や詳細については公式サイト(http://antouin.com)を御覧ください。

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