ご報告が遅くなりましたが、満山の紅葉に境内が彩られた11月5日、年に一度の大祈祷法要「大般若祈祷会・歳末合同供養」が執り行われました。このご法要では、毎年新たに入壇された皆様の式典、子ども参加ワークショップ形式のこども大般若、合格祈願や各種ご祈祷、住職法話と歳末チャリティの寄付や募金が行われています。
今年もおかげさまで、福島市土船の児童養護施設・青葉学園への寄付(福島交通バスチケット17万円分、現金の募金30,084円)、北海道滝川市の難病の子どもたちの為のキャンプ施設・そらぷちキッズキャンプへの寄付(現金の募金8,301円)が集まり、無事に届けさせていただきました。謹んでご報告申し上げます。
御本尊さまの前は御簾が降ろされ、大般若祈祷会の際は「十六善神」の軸が御本尊の代わりとなります。右下の赤い僧形の人間が玄奘(げんじょう)三蔵法師。『西遊記』の三蔵法師のモデルとなった方であり、中国より天竺(現インド)へ渡り600巻の『大般若経』を持ち帰られました。
その600巻の経典をすべて本堂にてお勤めするのが年に一度の当院の大般若祈祷であり、600巻より中心となる教えを凝縮してまとめたものが、普段法事などでよく読誦される『般若心経』です。
この軸は、その裏を見るに万延2(1861)年の文字と当時の寺総代らの名前が記され、当院の12世・中興円山玄明大和尚が求められたとの記録がはっきりと墨で書されています。その前年に安洞院は火災で全焼しています。その焼け跡に最初に迎えられたのが現在の御本尊とこの軸、毎年2月に祀る釈尊入滅時の様子を描いた『涅槃図(ねはんず)』の3点でした。
まさに先祖たちが寺院再興の願いのもとで手を合わせていた大切な宝でしょう。入檀式、法話の中にて、そのように寺院の歴史と沿革を紹介いたしました。
今年は参加型の「子ども大般若」も行われました。
例年30名超の子どもたちが参列される法要ですが、今年は欠席の連絡が次々と。流行りのRSウイルスや風邪、運動会や三連休の行事と重なり、当日はこどもが数名という状況に!司会の方からのご案内で、大人でも大般若経を振りたい方を募ったところ、実はやってみたかったという大人の方にもご参加いただきました。
原体験を持つというのは素晴らしいことですね。
歳末供養では、特にご供養されたい方や先祖の塔婆供養、冠婚葬祭や病気などにより法事ができなかった方のご供養が行われました。ちょうど本堂に西日が差し、幻想的な雰囲気となりました。
毎年寄付を続けている青葉学園に伺ってきましたが、最近は親を失った孤児よりも、さまざまな社会的経済的要因により家庭で子どもでいることが許されない状況から、児童擁護施設に入居される子どもたちが多いとのことです。
福島市土船は吾妻山の裾野に広がる、厳冬の風雪が厳しい場所。自転車では大変な道を通う子どもたちのバスの費用として、バスチケットや募金を寄付いたしました。
もう一つの寄付先は、写真の車椅子で登れるツリーハウスがある、北海道滝川市のキャンプ施設・そらぷちキッズキャンプです。医師や看護師が滞在し、難病や末期ガンの子どもたちやその家族らが医療ケアつきのキャンプを楽しむことができる施設です。
こちらは住職個人のご縁で3年ほど支援を続けてきましたが、福島の子どもたちも利用されており、以前ボランティアのために滞在したことのある経験から、当日に事業や寄付の趣旨の説明をさせていただきました。この寄付は現在約20万円ほど集まり、来年2月の東京マラソン財団を通じて施設へ届けさせていただきます。
今年も多くの皆様がたのお参りとお手伝い、まことに有難うござました。
皆様の想いが広く世界に巡ることを心より祈念いたします。
そして、いよいよ受験シーズンを迎える受験生のみなさん、これからが正念場ですね。
山の上より、合格を念じております!
住職 合掌
(写真:佐藤正乗師)
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