こんばんは。住職です。
最近はスティーブ・ジョブズの影響か、2020年を前に日本文化を学ぶ機運が高まっているせいか、禅について学びたいという官民問わず各種団体からのご要望が多くなっています。
先日は住職と個人的なご縁も深い企業からのご依頼があり、グループ5社の合同研修会に講師として出講いたしました。テーマは誰もが大小の差はあれど持っている「ストレス」。「禅から学ぶストレスケア」というご依頼に対して、坐禅、写経、そして遺言の練習という3本立てで構成を考えました。
坐禅のプログラムは、宗派で制作しているしおりをもとに進めていきます。
坐禅というとお寺でなければできないという印象がありますが、実は環境を整えればどこでも実践可能なものです。曹洞宗の公式サイトでは詳しい作法や動画もあるので、それをご覧になるだけでも良いと思います。便利な時代ですね。
▼いす坐禅のすすめ(曹洞禅ネット)
https://www.sotozen-net.or.jp/isuzazen
▼坐禅についてのアニメーション
本来であれば畳の上で行う坐禅を、上体の姿勢を整えていすで行うのが「いす坐禅」です。
感想には「忙しい時の対応に役立ちそう、自分自身を落ち着いて観察できる、キャパを超えた時など仕事にも活用できそう」というものが多く寄せられました。
続いては、写経です。
短い経文を、心静かに写していく。速さを競わず、うまさを比べず。願目については本来制限がありませんが、今回の研修では「必ず自分以外の誰かの幸せを祈る」というテーマ設定での写経です。
自分以外の誰かの幸せを祈るということはどういうことでしょう。
それは、他人の幸せを祈ることを通して、そこに照射されてくるのは自分との関係性や自分自身の感謝や気づきの感情です。他人という鏡を通して見えてくるのは自分自身の姿。
私たちのストレスの原因は様々ですが、自分の幸せだけを追い求めるとエゴに陥りやすくなります。そこで他人の幸せだけを願うというエゴから離れた祈りの行為によって、純粋な自分自身の姿に出会うことを目的としてみました。
写経を終えた後は、遺言を書いてみる練習です。
私たち曹洞宗の僧侶は、毎年の正月に自分の葬儀の準備をします。
いつ死んでもいいように、自分の人生の境涯を漢詩に表して、そして自分の葬儀の段取りを決めて一年のスタートを定めます。(私は保険関係やSNSの設定、PCのデータ管理についても毎年遺言を見直しています)それはつまり、死んだつもりで生きていくということ。
毎年の始めに自分の死を意識することから始めることで、つまらない小さな問題はどこかに消えていきます。これは禅僧の文化から生まれた、究極のストレスケアだといえます。
今回は遺言を書いてみるという作業を通じて大切な人を意識し、その後、千利休をはじめ歴史上の人物の辞世の句や、禅僧の遺偈(漢詩の形に書かれた、禅の境地や境涯をあらわすもの)をいくつか味わいました。
とても静かで厳かな最後の時間になりました。
今回のクライアントからいただいたテーマはストレスケア。
改めて禅から学ぶストレスケアを考えてみると、
1、手をつけず、いちど放っておいてみる(坐禅)
2、誰かの幸せだけを願ってみる(写経)
3、一度死んだつもりでまっさらな自分に生まれ変わる(遺偈)
という3本の構成で内容をアレンジさせていただきました。
福島を代表するエネルギー関連の企業グループの研修会。例えるならば、エネルギーを外に買いにいくのではなく、自分自身の心を掘り続けることで己の中に眠る天然資源を見つけるという「気づき」のプロセスを発見するのが今回の醍醐味かもしれません。
素晴らしい機会をいただいた西形さんに感謝を込めて。
ありがとうございガス。
お寺での社員研修や外部出講型の社員研修、学生向け部活動の研修は、現在スケジュールの都合から月2回程度しかお受けできませんが、ご要望があればまずはお問い合わせください。
今回の「ストレスケア」というテーマに限らず、お香のブレンドを用いた女性向けのワークや、発想や閃きに役立つ禅僧の語録の輪読、ブッダの言葉を読む講座など、ご希望に応じて内容をアレンジいたします。詳細はお電話またはメールにてお問い合わせください。
(スケジュールが年内と年始までいっぱいのため、2019年2月以降よりご予約可能です)
▼お問い合わせフォーム(安洞院ウェブ)
http://antouin.com/info/td.html
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▼各種講座の費用等はご相談に応じます
・坐禅 基本的にドネーション(おさいせん)制
・写経 教材費、納経代含め一人500円より
・お香 教材費として1,500円〜2,500円
・ほか別途講師謝礼、交通費等(応相談)
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