お寺の床の間からのブログ記事です。現在、当院の貴賓室(台所の北側)の床の間に掛けてある軸がこちら、高浜虚子(たかはま・きょし:1874〜1959)の俳句「東山静(か)に羽子の舞い落(ち)ぬ」です。
虚子は明治時代の文学者として有名な正岡子規(1867-1902)に師事しており、正岡子規の後に当地の文知摺観音普門院を訪れています。現在、境内には正岡子規の句碑「涼しさの昔をかたれしのぶ摺」と高浜虚子の句碑「思ひ出て信夫文知摺春の草」が建立され、師弟の足跡を辿り偲ぶことができます。
今回の歌は当地に直接の縁がありませんが、縁あって当院にて迎えることになりました。舞台はおそらく正月の京都は東山。羽子板の遊びに興じる人々の姿と羽子が静かに舞い落ちてゆく光景が詠まれています。
いつもご来寺の方々に説明できれば良いのですが、寺院の者が不在の時や法要などで対応ができないことも増えてきたため、今年は所蔵品である書画の解説や英訳文なども記載したものを目立たない程度に置かせていただこうと思います。最近は海外からのお客様も時折迎えることになってきたので、私たちにできる、ささやかなおもてなしとして。
法要の待ち時間や打ち合わせの合間など、心地よいお香の香りと自然の音に耳を澄ませながら、先哲の深く広い知や智慧に思いを重ねていただければ嬉しいです。
寒波も去り、次第にあたたかくなってきました。
皆様のご来寺を心よりお待ちしております。
私も年に何度かは京都に参ります。静かな京都のお正月の様子を詠んだのは虚子先生がご健在の頃です。今は昔。ここ最近のオーバーツーリズムで外国人でごった返ししている京都を歩きながら、虚子先生が見たお正月はどんな光景だったのだろうと思ったものでした。あえて今、着物を着て羽子板で遊んでみるのも良さそうですね。
住職
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