観音像を火から守った小さな手

(画像:火災発生から40秒後)

以前の記事にて3月22日に発生した「祈りの丘さくら」の火災についての状況報告をさせていただきました。当時の防犯カメラの映像には出火からの様子が記録されており、着火からわずか5分で火の手が風方向に広がっていく様子が克明に記録されていました。映像、画像とともに、火災の資料として消防署へ報告書とともに届けていまいります。


何度も映像を見返している中、映像の中にはおばあちゃんと一緒にお参りされていた、孫である小さな女の子の姿が記録されていました。小学校入学前の小さな体で、重い水の入ったじょうろを持ちながら水道とおばあちゃんの間を何往復もする姿でした。燃え広がる炎の中、大人であってもパニックになってしまう状況下で、迅速かつ的確に水を運び続ける姿には胸を打つものがありました。

(画像:火災発生から5分後)

住職である私が現場に到着したのは火災発生から15分後。芝生の延焼は南側のエリアで止まっていました。防犯カメラの映像から、おばあちゃんとお孫さんが一生懸命水をかけつづけ、中央部分の境界のところで火災がストップしている様子が確認されています。きっとこの初動の消火活動がなければ、すべての面の芝生が燃えていたと思われます。

当時、けたたましいサイレンの音と共に消防車が続々と到着し混乱する現場の中、涙を流しながら肩で息をしている女の子の姿を私は確認しています。今映像を見返しても、よくあんなに小さな体で重い水を持って、何往復も走り続けたと思います。ほどなくして近所に住むお母さんも現場に到着し、ひとまず温かいお茶とお菓子をお渡しして労いの言葉をかけさせていただきました。


自分が同じ年齢だったとしたら、パニックになる大人の様子を前に、果たして同じ行動ができたのだろうかと考えさせられました。今回の火災が最小限の被害で済んだのは、小さな体でおばあちゃんを支えて走り続けた女の子の尽力のおかげだと思っています。最後には笑顔も戻り、高台から放水車の様子を見学している姿に安堵しました。

勇気ある行動に心から感謝するとともに、後日改めてご挨拶に伺う予定です。

ほんとうに、ありがとう。

合掌


(↓以前の記事・火災の詳細についてはこちら↓)

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