本堂の照明工事の中、特に今回力を入れた部分をご紹介します。
本堂の大間の正面、みなさんがご焼香される場所の頭上には、立派な天女の欄間彫刻が施されています。実は、今までは金蘭の柱巻(欄間や柱を覆う大きな布)が巻かれていたため、本堂新築以来ずっと幕の中に隠されていた彫刻でした。
三年前の本堂の行事の画像です。正面の柱や欄間に巻かれているのが柱巻です。絢爛豪華な雰囲気です。柱巻は本堂新築以来ずっと使用されていたもので、経年の日焼け、当院の猫たちの猛攻を受けてだいぶ痛んでおりました。
こちらが思い切って柱巻を外した画像です。茶色の4本の柱とともに、これまで隠されていた欄間の彫刻たちが現れました。正直なところ、柱巻を外すということが無かったので、ここに彫刻が施されていることを46年間知らずに育った住職ということです。
柱巻の中の彫刻を見つけた時の図。彫刻はまったく日焼けしておらず、47年もの間ずっと幕の中にあったことが日焼けの状況から推察されます。彫刻は左右に施され、左が蓮の花を持った天女の図。右には雅楽の楽器を持った天女が彫刻されてます。
これらの彫刻が最も生きる方法は無いか、そこに力を入れたのが彫刻を照らすスポット照明です。光が拡散し過ぎると全体がぼんやりとしてしまうため、闇の中で天女の顔と胴体だけが浮かび上がるように照明器具を選んでいます。
今回はオーデリックの照明システムを組んでもらいましたが、スポットライトには拡散タイプと集光タイプのものがあり、それぞれ照射角がだいぶ違います。拡散タイプでは46度、集光タイプでも28度ぐらいでした。一度合わせて見ましたが光が広がりすぎて納得いかず、もっとも照射角が狭い機材を探してもらったところ、照射角18度の機材が見つかり使用することになりました。画像では私の手で持っている器具です。
かなり小さな器具であり、設置も目立たない場所を選んでいただきました。
こうして出来上がった部分が欄間彫刻を照らすスポット照明です。本堂の闇の中に、天女が飛来しているような雰囲気となり、お参りする人を優しく頭上から迎えてくれます。
欄間彫刻の裏面には、本堂建立当時の寄進者である宮大工八木沢棟梁のお名前と、彫刻を手がけた彫刻師佐藤治正氏のお名前も刻まれています。裏面は本堂の仏様が祀られる内陣となりますが、ここにもしっかりとスポットライトが当たるように調整しました。
今回は、欄間の彫刻部分の照明工事について書かせていただきました。
インターネットで施工事例を探しましたが、なかなか良い情報に出会うことができず難儀しました。しかし、情報が無いゆえ、オーデリックの照明プランナーの方や現場の電気屋さんとの打ち合わせを重ね、ここでしか生まれない美というもを追求できたと自負しています。
現代のLEDは素晴らしい器具がたくさんあり、選択肢も無数にあるゆえに迷います。光が生きるためには闇を作る。その闇の中でどんな光がもっとも素材を引き立ててくれるのかを熟慮しながら試行錯誤を繰り返す。とても良い時間を過ごすことができました。
これから本堂の照明をかっこよく美しくしたい!
そんな次世代の住職の参考になれば嬉しいです。
さっそく当院のSNSを見て現場を見学したいという建築関係の方や僧侶の方々からも多数のご連絡をいただいております。おすすめはもちろん夕方のお時間です。ぜひお気軽にお参りくださいませ。天女たちとともに、住職も皆様をお待ちしております。
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