(其の1よりの続きの記事です)
子ども坐禅会が終わると、子どもたちみんなで作ったアロマキャンドルが本堂に並べられていきます。日が落ちれば、コンサートに参加される大人の姿が次々と。仕事帰りの人、近所のおじいちゃんおばあちゃん、年齢職業問わず、多くの方々で本堂はいっぱいになりました。
今回のコンサートは、クアトラガッツという管弦四重奏のカルテット。スペイン・バルセロナ在住の音楽家、籠島弥生さんが帰国される機会に合わせ、仙台フィルのメンバーらと被災地各地を巡る演奏ツアーの一環でした。
クアトラガッツとは、カタルーニャ語で4匹の猫のこと。4人とも猫が大好きで、この名前にしたのだそうです。
バルセロナには今も旧市街にクアトラガッツという喫茶店があり、フランスに渡る前の若き日のピカソら気鋭の芸術家たちが通っていたことで有名です。
趣旨説明、住職の挨拶から。
安洞院で毎年の311に行われている東日本大震災関連事業である「3.11祈りの日」という事業があります。2019年2月に住職が現地に渡り、バルセロナ日本協会という団体のサポートでバルセロナ市内数カ所での講演や交流の機会をいただいた際、現地の会場であるバルセロナ日本語図書室でお手伝いされていたのがバイオリン奏者の籠島弥生さんでした。
(写真:お話会の様子)
震災についての話や福島で起こっていること。その後の復興への道のりや、家庭レベルでの震災後の生活との向き合い方。エネルギー問題のこと、一次産業のこと、心の復興の大切さ。
現地在住の方々や、留学生の皆さんとの対話は、とても素晴らしい機会となりました。その時に、籠島弥生さんから東北での演奏ツアーのお話をいただき、半年後に福島でお迎えすることになったのです。
その滞在に合わせて、現地で大変お世話になったデザイナーのつのだひろしさんから頂いたのが、赤いTシャツでした。胸には、japainの文字。
japanとSpain、そしてjapanのpain。日本とスペインが一つにつながり、日本の震災の痛みを忘れることなく想い続ける。そんなメッセージが込められています。
つのださんはkorekara japon という団体を組織し、震災後のこれからの支援を考えるプロジェクトをまとめられています。お仕事でとてもご多忙の方ですが、本当に頭が下がります。
そんな経緯を話し、震災の犠牲者への黙祷からコンサートが始まりました。
キャンドルにもすべて火が灯されました。
帰国して想いを語る籠島弥生さん。
子どもたちにも人気のアニメソングから、クラシックの定番の曲、スペインの伝統的な音楽など、夜の本堂に素晴らしい音色が響き渡りました。
人から人へ繋がる縁。
半年前に会ったばかりのご縁が、こうして福島で実を結ぶことになりました。クアトラガッツの皆さんは仙台や宮城、岩手の沿岸部なども巡り、各地でコンサートを開催されたとのこと。音楽にしか出来ない支援があるのだということを、4匹の猫ちゃんたちに教えられた気がいたします。
こうしてアロマキャンドル作り、流しそうめんから始まった子ども坐禅会は、音楽のフィナーレで幕を閉じました。
また来年もお待ちしております!
住職
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