2月15日はお釈迦さまが入滅された日として、涅槃会(ねはんえ)と呼ばれています。安洞院ではお釈迦さまの涅槃会に因み、毎年2月の1ヶ月間は本堂に涅槃図を展示しています。本日2月1日より、本堂の西室中にて涅槃図の展示が始まりました。
こちらが展示の様子。正面に掛けられた大きな掛け軸が安洞院所蔵の涅槃図。万延元年・1860年に求めたとの記述があります。痛みが激しかったため、一度修復に出して彩色と表具を直しています。
涅槃図の右に置かれている額の中には、当時の住職が記したと思われる寄進者の名前が記された古文書があります。実はこれ、虫食いボロボロの状態で箱の片隅に収納されており、危うく処分される一歩手前で気がついたために救われたのでした。
中央右側の白い紙が貼ってある部分は、破れ補修のために上から重ねたもののようですが、下の文字はまったく見えいない状態となっていました。
額装をお願いした際に修復師にも相談し、特殊な薬剤を施すことで下に書いてある文字も見えるようになりました。見たところ、当時の福島市山口地区の総代や世話人の方々の先祖の戒名が記されています。貴重な歴史ですね。
万延元年・1860年という年は、安洞院が火災で本堂から庫裡まで全ての伽藍を焼失した年でした。1月に全山が焼失し、そのわずか半年後には焼け跡の復興に入られた第12世住職が地域の人々と力を合わせて涅槃図を求められたことが分かります。厳しい時代だったと思いますが、その労苦は計り知れません。
涅槃図には、お釈迦さまの死を悼むことを示唆する物語が、詳細に描かれています。嘆き悲しむ人や仏菩薩の姿、天界からは我が子の病を助けようと雲に乗って現れるお釈迦さまの母・摩耶夫人の姿も描かれています。左下の木に引っかかっているのは摩耶夫人が届けようとした薬の袋です。涅槃図には共通して描かれるエピソードです。
表情豊かな動物やさまざまな生き物たちもお釈迦さまの死を悲しんでいる様子が見られます。
一人一人の表情を見ていると、その豊かな描写には驚くばかりです。
ちなみにこちら↑の横たわる僧侶の表情が、住職の中では最も思いを寄せている部分です。衣の極彩色もなんともいえません。
涅槃図は2月末まで展示しております。本堂の法要中以外はどなたでもご自由にご覧いただけますので、ぜひお参りのうえ手を合わせてください。この時期は法要でも涅槃図の絵解き説法なども行なっております。ご希望の方はお申し付けください。
住職
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