新型コロナウイルスの問題と向き合う初めてのお盆。安洞院では夏の風物詩であるお盆の合同供養を中止し、今年は新しい形での塔婆供養を行いました。
本堂前には焼香所テントが設置され、本堂でのご焼香から代表者1名のみが順路に並び受付へ向かうシステムでした。人数制限も考えましたが、出入口や本堂内でのソーシャルディスタンスを守るのが難しく、検温などの対応も現実的に難しいことからの判断でした。
会場の設営にあたっては現場の詳細な打ち合わせをもとに、地元葬儀社たまのやの皆様にお世話になりました。暑い中本当にありがとうございました。
焼香所の前でアルコール消毒、そのまま三列に分かれて祭壇へ向かいます。常時担当者2名が立ち、密にならないように誘導に徹してくれました。
順路を経て、一列に並んで受付へ。朝晩の涼しい時間帯には、時おり寺猫のビャクが登場します。ビャクは今年で21歳、可愛がってくださる皆様、本当にありがとうございます。受付で塔婆と記念品を受け取ります。
お勤めは無参列者にて、一人一人のご戒名やお名前を読み込み、住職が代表で勤めさせていただきました。13日の14時からは新盆の御供養を、14日の14時からは全申込者のご戒名を読み込ませていただきました。
初めてのコロナ禍のお盆。なにぶん初めての試みゆえ行き届かない点も多数あったと思いますが、第一に皆様が安心してお参り出来るようにすることを最優先し、今回はこのような形でwithコロナのお盆を迎えさせていただきました。
合同供養の中止は昭和の終わりごろから始まった歴史の中で、今年初めてのことでした。withコロナ、afterコロナの時代には、不特定多数の方々を一同に迎える以上、これまでの伝統の形を一度解体しなければいけないことがあることを再認識させられました。大切なものや省略してはいけないものを守りつつ、どのような部分に重きを置いていくのか。これからも現場の声や業界団体との情報共有を通して、少しでも心の領域を守る事が出来ればと考えております。
ちなみにこの画像は、焼香所のテントから順路へ続く場所。テントの金属部分に頭が当たっても痛くないように、たまのや現場スタッフが創意工夫をもって養生してくれました。
ここについては特段打ち合わせもしなかったのですが、私が急いで移動する時に頭をぶつけてはじめて気がつきました。「ぶつけたのに頭が痛くない!」頭を保護する髪が無い人間にとって、優しさを感じた一瞬の出来事でした。この保護がなければ、今頃住職の頭には痛々しい傷跡が残っていたことでしょう。たまのやの設営スタッフの真心のこもった配慮に、心から感謝申し上げます。
一家族一セットと数量は限定となりましたが、毎年の夏のお土産はそのままに。送り火で線香花火とともに、大切な方々を送り出してください。
例年のように本堂で多くの皆様をゆっくりお迎えする事は出来ませんでしたが、それぞれがゆっくりとご自宅でのお時間をお過ごしになられることをお祈り申し上げます。来年のお盆はまた本堂で合同供養が再開できることを念じております。
2020年盂蘭盆会
安洞院住職 横山俊顕
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